台東区谷中7丁目・朝倉彫塑館隣のマンション計画について

台東区立朝倉彫塑館屋上庭園から南側をのぞむ。この展望はマンションが建設されるとなくなります。

東京・台東区立朝倉彫塑館の隣接地にオープンハウス・ディベロプメントが6階建て地下1階32戸のマンション「(仮称)オープンレジデンシア谷中七丁目」を計画しています。この計画は国の名勝にも指定されている朝倉彫塑館の景観と戦前・昭和時代の街並みからの連続性を維持している沿道の景観・文化に重大な影響を与えると多くの近隣・谷中地区関係者は考えています。

マンション計画の法的根拠になっている台東区の「谷中地区 地区計画」は下記の記事をご覧ください。

https://tabisurumishinten.com/?p=5152

都道計画から開発が規制されていた谷中で、中高層のマンションや大型建築物を促進する地区計画が台東区により2020年10月に施行されました。このマンション計画は台東区の谷中・地区計画に基づく最初の大型開発物件です。

マンション建設予定地を通り沿いから撮る。奥・北側に朝倉彫塑館が見えます。

【マンション計画概要(2021年9月8日公表のもの)
名称(仮):オープンレジデンシア谷中七丁目
住所(住居表示):東京都台東区谷中7-18
構造(予定):鉄筋コンクリート造・地上6階・地下1階
戸数(予定):32
販売形態(予定):分譲
高さ(予定):18.11メートル
敷地面積(予定):712.49平方メートル
建築面積(予定):498.07平方メートル
延べ面積(予定):2318.84平方メートル
基礎工法(予定):現場造成杭
工期(予定):2021年12月~2023年2月
建築主:株式会社オープンハウス・ディベロップメント(東京都千代田区)
設計者:株式会社クオリティ(東京都港区)

国の名勝になっている朝倉彫塑館の中側の庭園。マンション建設により日当たりが影響を受ける可能性が高いです。

【経緯】
1907年:彫刻家で東京美術学校(現東京芸術大学)教授の朝倉文夫が下谷区谷中初音町(現台東区谷中7丁目)にアトリエを建築開始。自宅も併設した3階建て和洋折衷の建築になり、1935年完成。
1950年代:朝倉文夫アトリエ兼自宅の隣接地に和久田荘(木造2階建て・A棟・B棟、東京都台東区谷中7丁目18-7)と山口アパート(木造2階建て・東京都台東区谷中7丁目18-8)が竣工。
1986年:朝倉文夫遺族が台東区にアトリエ兼自宅を寄贈し、以降台東区立朝倉彫塑館として運営。
2001年:国が彫塑館建物を登録有形文化財に指定。
2008年:国が朝倉彫塑館の敷地全体を国の名勝に指定。
2009年:彫塑館、大規模な修復保全工事を開始(2013年終了)
2018年ごろ:和久田荘の所有者他界により、遺族が敷地の売却を開始。京成不動産が取得もしくは仲介。
2020年:10月に台東区が「谷中地区・地区計画」を施行。年後半に和久田荘居住者の退去開始。
2021年1月~4月:和久田荘に隣接する山口アパートと美容室建物からの住居人・使用者退去開始。
2021年6月:和久田荘・山口アパート・美容室建物の解体開始。
2021年7月:マンション計画の予測が近隣住民に流れはじめる。
2021年9月8日:株式会社オープンハウス・ディブロップメントによる建築計画公表。
2021年9月中旬 計画地での文化財発掘調査開始。江戸時代の遺構などを調査。
2021年9月23日・24日:近隣・住民向けの第1回説明会(台東区立谷中防災コミュニティセンター)開催。

アパート解体の様子についてはこちらの記事をご覧ください。
https://tabisurumishinten.com/?p=6159

【21年9月説明会にて住民側から出された主な意見の概要】
(※この説明会開催時点で区の確認申請・地区計画許可はまだ通ってないと建築主側から説明ありました。)

・地下1階の住居周辺にドライエリア(堀状の空間)を設ける設計構造に建築上の無理がある。平均地盤面の取り方に危うさを感じる。民間検査機関の判断を得ても公的機関が許可するとは限らないだろう。
・地区計画では沿道は12メートル規制(4階建てまで)だが、規制から外れるエリアの敷地をつかって6階建てにする設計構造に無理を感じる。
・建築物のパース(立体図)をつくって見せて欲しい(複数意見)。
・自転車の台数が1戸につき1台ということだが足りないのでは?
・工事はお彼岸・盆暮れ正月・諏方神社の祭りを避けるかたちでおこなって欲しい。
・和久田荘が設けていたような谷中霊園方面への通り抜けスペースを設置して欲しい。
・朝倉彫塑館への日当たりが心配である(複数意見)。
・朝倉彫塑館の湧水(地下水)の影響を心配している(複数意見)。
・朝倉彫塑館屋上庭園からの展望への影響が心配(複数意見)。
・地区計画の規制から逃れるように建てられる突起したような5階・6階部分は不要ではないか(複数意見)。
・朝倉彫塑館は谷中随一の文化財であることを理解して欲しい。
・過去の谷中での大型マンション計画、三崎坂のライオンズマンション(大京、1990年代)とよみ通りの伊藤忠商事のマンション(2010年代)ともに住民と建築主が話し合いで妥協して、地域に合う建築計画に変更してきた。今回もこの歴史に沿って計画を考えて直して欲しい。
・説明会であった取り壊されたアパートが汚いという意味の言動は許せない。
・駐車場スペースは1台で足りるのか。
・工事の際の大型コンクリートミキサー車の待機・通過が周辺の交通状況に重大な影響を与える。
・建物のパースが示されていないので緑化スペースのイメージが全くわからない。
・地下1階も住居として販売され、ゴミ置きスペースとも一緒の階の計画になっていることに不安を感じる。
・マンションの北向きのベランダから朝倉彫塑館の屋上庭園をのぞける構造であることを懸念している。屋上からもマンションの中をのぞけることになる。
・屋上にタンクはないが通りの水道本管から汲み上げるのか?下水の処理の仕方は?
・計画地が面する朝倉彫塑館通りは児童の通学路でもある。工事車通行にともなう安全確保には万全をつくしていただきたい。

【参考図面】
(2021年9月公表の建築計画概要より)

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多くの近隣・町会・谷中地区関係者は決してマンション計画自体に反対するものではなく、沿道の低層の街並みと朝倉彫塑館に調和する建物を建てて欲しいと願っています。これは、新しい住民を快く迎え、ともに谷中でのコミュニティーを長期的に形成・維持していくために必要なことだと考えています。

計画地に隣接する当店では主に町会関係者に協力するかたちで、計画の推移を記録・告知していく予定です。

※この文章は随時加筆・修正する予定です。