カラス学者の回想録 京都・京大・百万遍

“学生街は大学内部とその周辺だけで、構成員の全ての需要を完結させてきた。何かに似ていないだろうか?そう、米軍基地だ。
それに、大概の学生は京大周辺に下宿していた。北大路や一乗寺だとしても自転車でチョイチョイと帰れるので、終電を気にしなくていい。いつまでもダラダラと、その「場」を共有できるのだ。研究室では教官が一緒に飲んでいることもあって、まあいささか昭和的な「飲みニュケーション」だとしても、世代をまたいで様々な知識や想いを伝達し共有する場であったように思う。
だが、その構造も今は崩れてきている。”
「結」より

京都大学が立地する左京区・百万遍周辺はノーベル賞受賞者を複数生んだ学問の楽園地というだけではなく、1960年~70年代のフォークカルチャーを生んだアンダーグラウンドとサブカルチャーの中心地でもありました。

少子高齢化・IT技術の普及浸透と社会の効率化により、1990年代後半以降日本各地の生活構造は大きく変わって行きました。1990年代まで京都市の端にある左京区は文化的・生活圏的ガラパゴスであり、そこには学生たちが時間を共有する数多くの「場」がありました。そして、その「場」は時代の流れとともに2000年代以降多くが失われました。

『カラスと京都』で生物学学生の視線から、京大・京都の街を時間軸で描いた松原始先生。今回は京大の本拠地である百万遍を中心に、理学部生の視点でかつて90年代までは日本全国にもあった「場」を描いた「京都」+「科学」エッセイ。

<本書に登場する「場」>
ミック(Mick)アリスの落ちた穴の底、ふぁんてん、おらんじゅ、天寅、ポスト・コイタス、進々堂、北白川バッティングセンター(北バチ)、一乗寺ラーメン街、吉田寮

鴨川の風と遊ぶ黒猫ヒャクマンベンくんと三白眼カラスのイマデガワくん。

〈本書の姉妹編〉
『カラスと京都』:本書と同じ90年代の京大・百万遍が舞台。カラス観察と折田先生像の変化とともに日常生活を時間軸で松原始先生が描いた1冊。
サルと屋久島』:松原始先生が京大生時代での最大のイベントであった屋久島のヤクザル調査隊参加エピソードを描く。京都大学・半谷吾朗先生との共著。

書誌情報:
タイトル:『カラス学者の回想録 京都・京大・百万遍』
著・イラスト:松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)
イラスト:植木ななせ(旅するミシン店)
ページ数:240
本の判型:四六判ソフトカバー
価格:本体1500円+税
ISBN: 978-4-908194-13-9 Cコード:0045
発行:旅するミシン店

著者:
著・イラスト:松原始(まつばら・はじめ)
1969 年奈良県生まれ。京都大学理学部卒業、同大学院理学研究科博士課程修了。
理学博士(京都大学)。専門は動物行動学。東京大学総合研究博物館・特任准教授。
研究テーマはカラスの行動と進化。
著書に『カラスの教科書』(雷鳥社/講談社文庫)、『カラスと京都』(旅するミシン店)、『カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か?』(山と渓谷社)、『旅するカラス屋』(角川春樹事務所)などがある。

絵:植木ななせ(うえき・ななせ)
旅するミシン店店主・布クラフト製品制作者・イラストレーター・ブックデザイナー。
1977年東京都足立区生まれ。
装丁イラストを担当した主な書籍として『カラスの教科書』(雷鳥社/講談社文庫)、『クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人』(ちくま文庫)、『ゾウの鼻はなぜ長い: 知れば知るほど面白い 動物のふしぎ33』(ちくま文庫)、『NNNからの使者 猫だけが知っている』(ハルキ文庫)『ダニが刺したら穴2つは本当か?』(風濤社)がある。

書店発売開始日:2022年5月9日(月)

取扱店(敬称略):

<京都市内>
・大垣書店高野店
・京都岡崎 蔦屋書店
・京都大学生協ブックセンタールネ
・CAVA BOOKS
・丸善京都本店
・本屋 ともひさし
・誠光社
・大垣書店京都本店
・大垣書店京都駅ビル ザ・キューブ店
・大垣書店イオンモールKYOTO店
・開風社 待賢ブックセンター
・大垣書店イオンモール桂川店

<東日本>
・紀伊國屋書店札幌本店
・紀伊國屋書店流山おおたかの森店(千葉県流山市)
・ジュンク堂書店池袋本店
・紀伊國屋書店新宿本店
・旅するミシン店(谷中店舗)
・紀伊國屋書店国分寺店
・紀伊國屋書店横浜店

<西日本>
・三洋堂書店城山店(愛知県尾張旭市)
・三省堂書店名古屋本店
・大垣書店フォレオ大津一里山店
・MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
・まがり書房(大阪府池田市)
・ジュンク堂書店三宮駅前店
・ジュンク堂書店福岡店

通販(敬称略):
※(ご注意)Amazon.co.jp様、楽天BOOKS様などのオンラインストアで「注文可」のステータスになる時がありますが、下記の通販のみでのお取り扱いなります。
e-hon
honto
まがり書房(オンラインショップ)
CAVA BOOKSオンラインショップ
紀伊國屋書店(WEBSTORE)
誠光社通信販売
滋賀びわこ書店(大垣書店Amazonストア)※検索窓で「カラス学者の回想録」を打ち込んでください。
・旅するミシン店通販部

書店様へ:
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通学の時に缶コーヒーを飲む黒猫のヒャクマンベンくん