会津木綿を織る風景

「旅するミシン店」では会津地方の伝統工芸である「会津木綿」を裏地に使ったブックカバーを2012年の春から作っています。

会津木綿の堅牢な材質と深い色柄を評価していただき、手に取るお客様が多いです。

会津若松市にある会津木綿の織元である「山田木綿織元」さんで織機を使った作業風景を見せていただきましたのでご紹介いたします。

豊田製のクラシック自動織機を使っています。トヨタテクノミュージアムの専門家の鑑定によると約80年前(1930年代)のもので、豊田自動織機が創業してから製作した自動織機の中でも最初期の機械とのこと。交換部品は浜松市の会社から今でも入手できるそうです。機構が単純なため、古くてもメンテンナスはしやすいのです。

戦国時代に始まった会津木綿はもともと手織りでしたが、明治以降機械化がすすみました。現在会津木綿は昭和初期、日本の繊維産業の全盛期の製造過程をほぼそのまま保存したかたちでつくられています。

太くて丈夫な綿糸を化学染料で染めます。そのため、色落ちは抑えられモダンなデザインが可能になっています。天然の素材で染める伝統的な藍染の会津木綿もあります。会津木綿は西陣織と同じく、糸を織る前に染めて糸の組み合わせによってデザインを決める「先染め」の手法です。

会津木綿は縦糸と横糸を一対一の比率で組み合わせる最も基本的な「平織り」です。複雑な模様はありませんが、生地の表裏はなく単純で頑丈なつくりになっています。

会津木綿づくりはもともと武家の女性の仕事でした。日本にも多くの個性的な織物がありますが、会津木綿には質実剛健の精神が宿っています。

3月の記事でも書きましたが、旅するミシン店では今後も会津木綿を使った製品をつくり続けたいと思っています。

会津木綿を使った製品を末永くお使いいただければうれしいです。