谷中からまた一つ古い建物が過ぎ去る。

谷根千エリアの象徴の一つであるへび道。藍染川という小川を暗渠化してできた道なので、川のうねりそのままにくねくね曲がっていて、独特な滞在感があるところです。

そのへび道を上野方面へ抜けたたところに、知る人ぞ知る古い長屋がありました。

写真の牛乳屋さんの隣には質感のある革小物で知られている「Leprotto」さんが入っていましたが、今春よみせ通りエリアに移転されています。

Leprottoさんの前には、伝説となっている手づくり衣料店「青空洋品店」さんが入っていました。もともと静かな住宅街である谷根千エリアでは、古い建物をリノベーションした個性的なお店の開業が続いていますが、そのムーブメントの先駆けとなったお店の一つが青空洋品店さんであり、多くの人の記憶に残っています。

牛乳屋さんのとなりにある「蛇の目寿司」さんは知る人ぞ知る名店で、贔屓にしている遠方の方や芸能人も多数いました。こちらも冬に閉店されました。

地域の事情通の方にお伺いしたところ、この長屋は取り壊しが決定し入居している店が全て退去されたとのことです。取り壊しは3.11の地震の影響とのこと。

以前にも染物店「丁子屋」さんが地震の影響で建て替えが決まったという記事を書きましが、古い建物は安全上の問題が深刻なので、保存が難しい状況です。

私たちも日々変わりゆく街の中で、愛するものがいつまであるとは限らないということも受け入れて、今あるものを目にしている時間を大切にしたいものです。


会津木綿を織る風景

「旅するミシン店」では会津地方の伝統工芸である「会津木綿」を裏地に使ったブックカバーを2012年の春から作っています。

会津木綿の堅牢な材質と深い色柄を評価していただき、手に取るお客様が多いです。

会津若松市にある会津木綿の織元である「山田木綿織元」さんで織機を使った作業風景を見せていただきましたのでご紹介いたします。

豊田製のクラシック自動織機を使っています。トヨタテクノミュージアムの専門家の鑑定によると約80年前(1930年代)のもので、豊田自動織機が創業してから製作した自動織機の中でも最初期の機械とのこと。交換部品は浜松市の会社から今でも入手できるそうです。機構が単純なため、古くてもメンテンナスはしやすいのです。

戦国時代に始まった会津木綿はもともと手織りでしたが、明治以降機械化がすすみました。現在会津木綿は昭和初期、日本の繊維産業の全盛期の製造過程をほぼそのまま保存したかたちでつくられています。

太くて丈夫な綿糸を化学染料で染めます。そのため、色落ちは抑えられモダンなデザインが可能になっています。天然の素材で染める伝統的な藍染の会津木綿もあります。会津木綿は西陣織と同じく、糸を織る前に染めて糸の組み合わせによってデザインを決める「先染め」の手法です。

会津木綿は縦糸と横糸を一対一の比率で組み合わせる最も基本的な「平織り」です。複雑な模様はありませんが、生地の表裏はなく単純で頑丈なつくりになっています。

会津木綿づくりはもともと武家の女性の仕事でした。日本にも多くの個性的な織物がありますが、会津木綿には質実剛健の精神が宿っています。

3月の記事でも書きましたが、旅するミシン店では今後も会津木綿を使った製品をつくり続けたいと思っています。

会津木綿を使った製品を末永くお使いいただければうれしいです。


益子の陶器作家さん

栃木県にある陶器の芸術村・益子。現在ゴールデンウィークの陶器市で街中が賑わっています。

店長・管理人もお気に入りの益子の陶器作家さんがいます。作品をお店にも飾っております。

お一人目は見目木実(けんもく・このみ)さん。

見木さんは益子で代々続く見目陶苑に東京から嫁かれて、益子で陶芸を始められた方です。

とてもかっこいい方です。管理人が撮った写真の数倍はかっこいいです。ここだけの秘密ですがお孫さんもいるんですよ。

見目さんの陶器の特徴は縄文土器のような土の流れがダイレクトに伝わる力強い質感とモダンなスタイリッシュさの調和がとれているところです。益子らしい土着的な暖か味と幻想的な雰囲気を持ち合わせています。

見目さんはいつも身近にとれた草花を器に飾るのですが、それが何とも言えずいいのです。草花があたかも器の土から養分をとっているのではという感じを受けます。

見目さんのお店の敷地には「KENMOKU」という見目さんの器が見られる静かなカフェもあります。陶器市のときはお店の敷地に多数のテントが建てられ、多くの人で賑わいます。

場所は共販センターから県道230号沿いに茂木方面に向かったところにあります。

栃木県芳賀郡益子町益子3053−3

http://goo.gl/maps/P2iIG

見目さんの工房のブログです。

http://tsuchikukan.cocolog-nifty.com/

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そして、お二人目は吉澤奈保子さん。

お写真の撮影は丁重に固辞されましたが、とてもキュートな方です。

吉澤さんの器にはかわいい植物や動物の絵が彫られています。器の表面を手で掘って模様をつけていて、益子焼なのにとても軽いのも特徴です。

店長と管理人は特にこのリンゴの柄のファンです。吉澤さんの器は使っていて飽きません。かわいらしさとちゃんとした質感がしっかり同居しています。

吉澤さんの作品を常に見られるのは益子のメインストリートにある陶器店「陶庫」さんです。

http://www.mashiko.com/toko/

陶器市のときには吉澤さんご自身が遺跡広場のテント村に出展しています。

また陶器市限定のギャラリー「第2倉庫」さんでも展示されています。

吉澤さんのブログです。

http://ameblo.jp/nao-waganna/

益子陶器市の情報はこちらのURLで見られます。

http://blog.mashiko-kankou.org/ceramics_bazaar/index.shtml

益子は日本でも貴重な「芸術村」です。店長も管理人も大好きなところです。

※追記

今年4月から茨城交通が秋葉原発着の高速バス「関東やきものライナー」の益子発着を開始しました。これまで車なしで益子に行く場合は、宇都宮駅から益子駅まで1時間程度の路線バスに乗るか、JR水戸線・関東鉄道常総線から乗り継いで真岡鐵道に乗るルートの二択でしたが、秋葉原からの直行便が出て選択肢が広がりました。しかも「関東やきものライナー」はトータルコストが安いです。

http://www.ibako.co.jp/highway/kasama/